削らないブリッジ(ヒューマンブリッジについて)9年経過

削らないブリッジ(ヒューマンブリッジについて)9年経過

こんにちは、丸ノ内線東高円寺より徒歩7分の中川歯科医院です。

 

さて今日は削らない治療の説明 削らないブリッジ、ヒューマンブリッジについてです。もう、この治療を始めて9年ぐらい経ちますがこの治療を採用される先生が少なかったのでかなり遠くから(栃木や茨城からいらっしゃる方も結構いました)来院される患者さんもいらっしゃいましたがこの1,2年でこの治療を行う先生もだいぶ増えてきて遠くから治療希望で来院される方はいなくなりまし

削らないブリッジ(ヒューマンブリッジについて)

最近自分で”削らないブリッジ”で検索をかけてみたのですが”削らないブリッジでもいろいろな種類があります。

 

昔ながらの貼り付けるブリッジとは違います

昔ながらの一塊で貼り付けるタイプのブリッジ(昔はメリーランドブリッジと言いました)。ポリプロピレンを使った白いブリッジもあるようです(大臼歯には使えないとのことです)

ひとかたまりでつけるタイプの問題点は歯の向きや豊隆に左右されるのでそれを合わせるために適合を緩くしなければいけないケースが多く、外れやすいのが欠点です(まれに方向などがうまく合うとピタッとするケースもありますが)。そのため昔から似たようなものが多くあったのですが普及しませんでした。(今は接着剤の接着力が強くなったので昔よりは取れないのかもしれません)

 

ヒューマンブリッジはパーツを分けることによって1本ずつパーツが作れるので歯の向きや豊隆に左右されないのが利点です。接着剤をつける前から適合もよい状態です。ブリッジのパーツを3つに分けるというのが大事なところで、コロンブスの卵的な発想かと思います。

ヒューマンブリッジシステムについて

まずブリッジのシステムを簡単に説明すると

 

 

 

 

ほんの少しですがへこみを付けます

口の中ですることはこれだけ。このあと型を取り

ます

 

 

 

 

 

 

 

 

 

できてきたパーツを両サイドの歯にはめます。欠損部に出っ張りがありますがここで方向調整ができるので、前後の歯が多少傾きがあっても問題ありません

 

 

 

 

 

 

 

真ん中にダミーの歯を付けます(ポンティックと言います)

嚙合わせ等を調整したら、接着剤でセットします

(かなり特殊で強力な接着セメントを使用します)

 

前歯でも同じようなシステムを使用します。極端に歯並びが乱れている方だとパーツの金属が見えてしまうので使用できませんが、たいていの場合は適用できます。

へこみを歯につける時もほんの少しなので麻酔を使用せずに行えます。皆さんの治療をする上での負担はかなり少なくなります。

 

 

ヒューマンブリッジ(削らないブリッジ)の適応できるケース、できないケース

先に非適応症についてです

・奥歯のケースで、歯ぎしり食いしばりが異常に強いケース(歯がすり減って真っ平になっている場合)

・歯周病が進行して歯が動揺しているケース(ただし、前歯だと逆に固定効果で状態がよくなるケースもあります)

・プラークコントロールの極端に悪い方。これに関してはどの治療もそうですが特に自費治療の場合はこちらも責任が持てないのでお断りしています。

 

特殊な適応症について

他のブリッジでは適応できないケースについてお話しします

・土台となる歯に金属やセラミックが入っていてもパーツを付けることができます。(ジルコニアが入っている場合は難しいかもしれません)

・土台となる歯が傾いていて普通のブリッジにするなら神経を取らなくてはいけなくなるケースも神経を保存してブリッジが入れられます。

・前歯のケースですと動揺している歯を土台にした場合強力な固定効果が得られて安定するケースもあります。あまり動揺が大きいと難しいかもしれません。

・前後の歯にブリッジや自費の被せものが入っているので外したくない場合

もちろん一人ひとり口中や状況は違いますので診察しないとわからないこともありますので診察時に色々と確認はします、ここに書いてあることが適応できないケースもあるかもしれません

 

実際の症例

 

 

 

 

 

 

左下の4番目にブリッジを入れたケースです

5番目の歯はブリッジの土台として使用されていたのでそのままブリッジの上からパーツを付けています

 

 

 

 

 

 

 

 

 

下の前歯が2本欠損しているケースです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歯につやがないのは色合わせ時の試適している写真だからです。完成品はもっとつやがあります

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは左上3番犬歯の欠損ケースです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特に金属が見えたりすることはありません

 

 

 

 

 

治療経過9年を振り返って

導入した当初は私個人としても外れないかどうかという不安もありましたので数人の方にご説明をして、安い費用でモニターに協力していただきました。特に早い脱離もなく問題はありませんでしたが接着するときが結構大変(パーツが細かいものを3つ同時につけるので)でした。
その後症例数が増えると難しいケースや無理だったらあきらめるからとにかく削らずにやってほしい等々いろいろなことが出てきましたので担当の技工士さんと相談しながら改良を加えながら治療を行ってきました
このMIブリッジは技工士さんの腕がかなり重要で今作ってくれている技工士さんは私が勤務医のころからのお付き合いでドイツに数年、留学に行っていた方です。帰ってきたところで声をかけていただいたのでお願いしている次第です。
このMIブリッジ、ドイツでは前から同じようなものがあるようで向こうで作成していたとのこと。ドイツのものと違うところなどを教えてもらいながら、いいとこどりをして今の形態ができています

ここのところ初期につけたブリッジが脱離したケースが数件ありましたが全員再接着できたので特に大きな問題はないですがメンテナンスに来ていない方がほとんど(1人以外)でした。

MIブリッジを入れた後のメンテナンスに通う患者さんも増え、長期の経過観察を行うことができ、自分でも結果を分析しながらよりよいものにしていきたいと思います。

 

ヒューマンブリッジの費用について

令和4年3月現在

前歯の1本欠損 ¥264000(税込)

臼歯部の1本欠損 ¥264000(税込)

としています。

ウクライナへのロシア侵攻問題で金属の値段が高騰していますので値段を変更しなくてはいけない時期が来るかもしれませんがとりあえずはこのままの費用で行っていきます。

 

最後に

お電話やメールで色々とヒューマンブリッジのお問い合わせをいただくことが多いのですが個別の診断、適応できるか出来ないかは実際に見てみないとわかりません。一般論については多少のご説明はしますが個別の診断、適応、非適応については診察前にはわかりかねますのでご了承ください

わかりづらい点などがありましたら当院のメールよりご指摘いただけると幸いです。

長文となりましたがお付き合いいただきありがとうございました。

東高円寺の歯医者|中川歯科医院

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